銃・病原菌・鉄
元々パンデミック前から、友人にオススメされていたのですが、
タイトルのおどろおどろしさに二の足を踏んでいました、
読み始めると私の興味のアンテナにも深く刺さり、
一読する価値のある本だったと思います。
ちょうど、ワクチン接種の待機時間にも持っていったので
リアルタイム感が出て良かったです。
ブックレビューのパイロット版として、
特にいまホットな病原菌について切り出します。
要約
「病原菌は、すべて人間の事情として病原菌となった。」
・人の視点から
狩猟採集民として人が散発的に生活をしていた時代には、
病原菌と強い関わりは無かった。
人間が農耕や、豊かな食料環境を確保できるようになり、
群れをなして集団で生活するようになった、
そのため病原菌への接触が増えることとなった。
・家畜動物の事情 (牛馬豚など)
人は沢山の動物を管理下に置こうとしたが、
管理が効くのは、群れで暮らし、性格が温厚で、
集団のリーダーが存在する動物、たった数種だけだった。
管理された家畜動物は、人の生活圏内で密集させて生活させられ、
元々媒介していた病原菌の人への接触機会を格段に増やした
・病原菌の事情
病原菌の行動理念は、他の動物植物と同じ、
自分や自分の子孫を大量に拡散させること、
自身が別に殺意を持っているわけではない。
人に罹患しておらず、病原菌として槍玉に上がっていないだけで、
群れて集団で生活する動物には全て病原菌がいる
遺伝子変異で変化した病原菌において、
時として毒素が強すぎるものも発生する、
宿主を絶滅させ、自分自身を絶滅に追いやるケースもある。
・まとめ
これらの事情により、人類は文明と共に病原菌とも共生を余儀なくされた、
天然痘やスペイン風邪で、何度も人口激減の憂き目に会い、
科学と医学の発達により、抗体が自然に出来るのを待たなくても、
対処がしやすくなってきたのが現代という状況。
考えたこと
「コロナって何なの?」と人に聞かれた時に明快な返事ができませんでした。
BCG摂取やインフルエンザ予防接種など、
生まれたときには感染症の予防や対策に参画させられていて
半ば常識となっていていたものが、
このコロナウィルスのパンデミックにより、
「病原菌とは、感染症とは何なのか?」
という事への大きな疑問が提起され、
それを俯瞰の位置からこの本で学べて、腑に落ちた事が良かったです。
目に見えない、微小な菌やウィルスの世界は想像しにくく、
分かりやすい敵や何かに置き換えて、
安心したい気持ちも人のサガではありますが、
人が文字を残した有史前後からずっと、
病原菌と共にいるという事実は
知っておいて損ではなさそうですね。
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